-----------------------------
プリンプリン物語の背景・出自
-----------------------------
<物語とそのベース> |
NHKホームページに『15歳のプリンセス、プリンプリンがまだ見ぬ祖国を探して世界中を放浪する冒険あり、恋あり、闘争あり、宝探しありの大ロマン。(NHKホームページより引用 ) 』というのがが概要として記述されている。大まかな粗筋は、
海原に赤ん坊が入った箱が流れていた。赤ん坊の傍らには王冠と一匹の猿。その赤ん坊がプリンプリンで、彼女を拾った漁師に育てられる事になる。
その後成長した彼女は王冠と猿を手掛かりに、「ボンボン」「カセイジン」「オサゲ」らと共に自分の祖国を求めて諸国を旅するのである。王冠は彼女が王女である事を意味していた。
その彼女に恋し、妻にするため旅の先々で付け狙うのが怪人ランカー。彼はいわゆる”死の商人”で諸国に武器や独裁グッズを売り捌く。
そしてもう一人の敵が「アクタ共和国」の総帥「ルチ将軍」である。
こうした連中による数々の障害を乗り越え、諸国を巡る旅は続けられていたのである。
である。プリンプリン物語はインドの古代聖典『ラーマーヤナ』をモチーフにしている。
:『ラーマーヤナのあらすじ』
コーサラ国の王子ラーマはヴィテーハ国王女シータと結婚するが、王位継承を巡る内紛によってシータ姫と共に森に隠れ住む事となった。
このラーマにランカー島の羅刹(ラセツ)の王ラーヴァナの妹シュールパナカーが恋をし、兄である王をそそのかしてシータ姫を妻にするためにさらわせる。そこでラーマは猿の王、ハマヌーンに助力を求める。
ラーマと猿王の部下スグリーヴァはランカー島を攻め落としてシータ姫を救出、コーサラ国の都アヨーディヤーに凱旋して王位につく。
強引に当てはめるならプリンプリンがシータ、ボンボンがラーマ、ランカーがラーヴァナ、ヘドロがシュールパナカーといった所か。
そして多分、ラーマーヤナの他に「西遊記」もモチーフにしている気がする。
ボンボンが「孫悟空」、カセイジンが「沙悟浄」、オサゲが「猪八戒」、この3人がプリンプリン(三蔵)と共に祖国(天竺)を目指して旅をする、と考えればピッタリだ。 「腹減ったー」のオサゲのキャラや知性派なカセイジンのキャラ、ボンボンの頭の金飾りもそう思わせる要因でもある。
プリンプリン物語はこの二つの古典をベースに持っているのかもしれない。
物語は古典をベースにしていると言っても、実に斬新な感性あふれるもので、独創的世界観が構築されていた。各スタッフの世界観の結晶とも言うべき名作。それゆえに3年間にも渡る長寿番組となり得たのだ。
<管理者概論> |
時代を遡って「ひょっこりひょうたん島」(1964-4/6〜1969-4/4)、「ネコジャラ市の11人」(1970〜73)、「新八犬伝」(1973〜75)、「紅孔雀」に続くTV人形劇ブームの最中に始まったプリンプリン物語は、『ひょっこりひょうたん島やネコジャラ市の流れをくむ、世相風刺劇でもあった(Yoshida様@「海より青い瞳」)』という。
確かに放映3年間にもわたる物語の中では、「ソ連のアフガン侵攻」、「イランイラク戦争」、「文化大革命の4人組」、「惑星直列現象」、「衆議院選挙」等など、実に様々な時事ネタが織り込まれ、その意味ではガンダムなどと同じく『時代に受け入れられ、時代と共に歩んだ』感がある。製作スタッフが時代の変化に柔軟に対応してきた成果であろう。
『番組のコンセプトがオトナって変ねというところにあった(と理解している)ので、登場するオトナは碌でもない奴ばかりだっただろう。エゴ・強欲・矛盾いっぱいのオトナ達に対して純真な?子供代表=プリンプリン一行が批判を加えるという観点であろう。(しどろもどろ様)』
という感想は非常に的を得ている。リアルタイムな世界の動乱に対し、「子供目線による純真でまっすぐな批判」がこの物語では表現されようとしている。
人間大人になると様々な立場の事情が見えてきて、子供の頃に感じた純粋で根源的な善悪感覚に対して妥協的になったり、或いは哲学的になったりする。子供の感覚に立ち戻り、そこをきちんと単純明快に表現できるかどうかが児童文芸作家の腕の見せ所である。実はこれ、大人になってしまった後では意外に難しい。
ジャンルを問わずドラマ、マンガ、映画、など名作は時代と共に迎えられてその時代の価値観と共に生き、一時代の終焉と共に全盛期を終えるものかもしれない。逆に時代の欲求に答えようとする努力を怠り、自己満足の範疇のみで作り上げた作品は、「奇作」として一部に喜ばれる事はあっても(それはそれで否定はしないが)、「名作」ではあるまい。
プリンプリン物語は名作である。
----------------------------------------------------
増加中